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大阪高等裁判所 昭和57年(ラ)130号 決定 1982年5月18日

抗告人 破産者 株式会社阪神水道用品 破産管財人 原田紀敏

被抗告人 株式会社 山善

右代表者代表取締役 山本猛夫

主文

原命令を取消す。

被抗告人の債権差押命令申立を棄却する。

理由

一、抗告人の抗告の趣旨及び理由は別紙のとおりである。

二、本件記録によると、被抗告人は破産者株式会社阪神水道用品に対する動産売買の先取特権の物上代位により、同社の破産管財人たる抗告人を相手方として、同社の第三債務者に対する転売代金債権の差押を求めるものであるところ、動産売買の先取特権者は、債務者が破産宣告前に目的物を第三者に売却したことによる転売代金債権については、破産宣告前に差押えることを要し、破産管財人を相手方として先取特権による物上代位のためこれを差押えることはできないと解するのが相当である。従って、被抗告人の本件債権差押命令申立は棄却されるべきである。

よって、本件抗告は理由があるから、原命令を取消し、被抗告人の本件債権差押命令申立を棄却することとし、主文のとおり決定する。

(裁判長裁判官 石川恭 裁判官 首藤武兵 蒲原範明)

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